建物・外装の総合メンテナンス ケーワンテック株式会社
平成20年の改正によっていわゆる外壁の全面打診調査が義務付けられました。
(※平成20年国土交通省告示第282号)
定期報告制度とは、建築基準法(第12条第1項~第3項)により建築物や昇降機などの定期的な調査・検査の結果を報告することを所有者・管理者に義務づけることにより、建築物の安全性を確保することを目的とした制度です。
報告は建築基準法第12条に定められており、報告を怠ることは法令違反となります。またその場合、建築基準法101条により、100万円以下の罰金が課せられることがあります。
事故を未然に防ぐため、外壁・避難路など建築物の防災上の性能について、専門知識を持った人に定期的に見てもらう必要があります。万が一、建築に係る事故等が発生した場合、定期報告の有無及びその内容は重要な参考資料となることも予想されます。また、指摘を踏まえた計画的な修繕・維持管理を行うことは、長期的に見ると維持保全費用を抑えることにも繋がります。
改正された建築基準法第12条では、「落下により歩行者等に危害を加えるおそれのある部分」を全面的に打診等により調査をしなければならないと規定されております。
下記、それぞれどのような範囲が対象となるのかを図にてご説明致します。
調査対象となる外装仕上げ材としてはタイル、石貼り等(乾式工法によるものを除く。)、モルタル等となっています。特殊建築物の定期調査では、外壁仕上げ材についてまず、目視による劣化損傷状況の確認を行います。さらに手の届く範囲の打診調査を実施し、浮きの有無を判断します。ここまでは、タイル貼り等の建物は同様に実施しなければなりません。
その上で、
に「落下により歩行者等に危害を加えるおそれのある部分」を全面的に打診等により調査しなければならないとなっています。
外壁の落下により、歩行者等に危害を加えた場合、ビルの占有者が損害を賠償しなければなりません。
建築基準法12条 定期報告で説明した通り外壁打診調査・定期報告を怠ることは法令違反であり、罰金が課せられることがございます。
しかし打診調査は義務化されている定期報告のためだけに行うものではありません。
最も重要なのは、他人に危害を与えないように事前に点検をし、対策を講じることです。
「土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負う。
ただし、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者がその損害を賠償しなければならない。と民法717条では規定をされております。
国によって定められた外壁打診調査を怠った場合、重大な事故に繋がる可能性があります。建物の老朽化や安全性は調査をしてみなければ正確に把握することは難しいのです。「安全」「この建物は大丈夫」といった気持ちが重大な事故を引き起こすことにもなりかねます。正確な調査を実施した上で、問題がある部分は補修工事を行いましょう。
民法条文(原文)
1.土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負う。ただし、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者がその損害を賠償しなければならない。
2.前項の規定は、竹木の栽植又は支持に瑕疵がある場合について準用する。
3.前二項の場合において、損害の原因について他にその責任を負う者があるときは、占有者又は所有者は、その者に対して求償権を行使することができる。